現代女性キャリア研究所について
あいさつ
日本女子大学 学長 篠原 聡子
日本女子大学の創立者成瀬仁蔵は、女子高等教育機関の使命として、女性が単に教養を身に着けるだけでなく、社会に貢献することをあげていました。本学では、その実践として多くの研究者や教育者、そして実業の世界で活躍する卒業生を輩出してきました。しかし、現在の日本社会は、女性がそれぞれの思うキャリアを積み上げていくには、まだまだ困難な状況が数多く存在します。現代女性キャリア研究所は、女性が豊かな人生とともにキャリアを積み上げていくための調査研究を行う機関であり、日本女子大学がその使命を具体化していくために大きな役割を担っています。
現代女性キャリア研究所 所長 永井 暁子(2023年4月~)
第4代所長に就任いたしました人間社会学部社会福祉学科の永井暁子です。本研究所は、女性の生きるみち、ライフコースについて多角的な視点から深く学際的に研究し、多くの情報を発信してきました。私自身は家族社会学を専門としており、研究所が2008年に設立されて以来、研究所の趣旨に共感し、様々な活動に参加してまいりました。
この間に社会も変化してきていることを実感しております。キャリアというのは職業だけにかかわらず、家族を含む生活全般にもあてはまります。労働市場の変化は、学校教育や職業教育、職業につくまでの道のりをかえ、職業についてからのあるいは再就職のための学び直しの必要性を増加させました。家族を取り巻く環境も変化し、家族を形成するか否か、どのような家族生活を営むか、家族の多様性は増しています。人生の中でどのような経験を積んでいくのか。いくつかのパターンに分類できるものではなくなりました。
このような変化の中で女性の選択も変わりつつあります。女性の機会は開かれたのか。女性の不利はどのような状況で続いているのか。女性の困難な状況を切り開くためには、人々が幸福に暮らしていくためには何が必要なのか。キャリアという視点から本研究所は調査を基礎に、さらに情報を発信してまいります。今後とも、何卒、ご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。