イベント
公開研究会「リスク・安全・『コロナ禍』:3つの社会学的視点の吟味」 (多世代交流研究会・日本女子大学現代女性キャリア研究所共催)
- 日付:
- 2022年12月16日(金)
- 時間:
- 18:00~19:30
- 場所:
- Zoomによるオンライン開催
【企画の趣旨】
未知の感染症の蔓延という未曾有の事態に対して当初私たちはただ狼狽するだけでした。収束というには時期尚早であるにせよ、ある程度の落ち着きを取り戻したいま、「コロナ禍」を通して見えてきた社会的課題を原理的かつ実証的に炙り出すことは社会科学の営みに参画する者の知的・倫理的な使命といえるはずです。そのような認識のもと、私たち多世代交流研究会では、社会学者の相澤哲さんをお招きして、「世代」間の交流を阻む目下の社会的な排除と分断の深層構造を読み解くための「視点」を洗い直すとともに、状況の可視化に資するための「言葉」を再点検したいと考えました。
「リスクの回避」や「安全のため」という名目で、私たちはいったい何を奪われ、何を失ってしまったのでしょうか。あるいは、私たちは「コロナ禍」をきっかけとして、もともと何か大切なものを奪われ続け、失い続けてきたことへの気づきを得ることで、あらためて何を考え直し、何を築き直す必要があるのでしょうか。
これら抽象的かつ原理的な「問い」の宛先、つまり「コロナ禍」で炙り出されてきた諸課題とは、制度的「福祉」の取り決めと取り組みが後回しにしてきた種々の抑圧的状況であるといえます。たとえば、「ケア労働」従事者をはじめ労働者や市民としての正当な権利が蝕まれ続けてきたエッセンシャルワーカー(各種のポスト・インダストリー労働者)。また、メリトクラシー(能力主義や学歴社会)を筆頭に各種の物象化現象(人間の物化と道具化)が交差する地平で非人道的搾取や人称的かつ構造的な暴力に直面するヤングケアラー、ひきこもり者、性産業従事者。その他様々なかたちで「ホーム」(生の拠点・本拠)を奪われ失い続けてきた人々。
こうした人々の権利の尊重や地位の向上、そしてアイデンティティの社会的・政治的な承認が理論的・実践的課題として提起されて久しいですが、それら関係論的・象徴的次元の取り組みは、事実上、制度的「福祉」の射程圏から排除され続けています。「ホーム」の剥奪・喪失により脆弱化した個々人の生を取り戻すための「連帯」と「共生」のあり方を、「世代」という水準で考え直そうとするとき、私たちはいったい何を誰に向けてどのように語ればよいのでしょうか。当日はこのような原理的かつ実践的な課題を考え抜くための「言葉」と「視点」を、自由な対話を通して鍛え上げたいと思います。
【当日の進行】
・企画趣旨 圷洋一(東京都立大学)
増田幸弘(日本女子大学)
・報告 相澤哲(田園調布学園大学)
・コメント 神尾真知子(日本大学)
黒岩亮子(日本女子大学)
・ディスカッション
【参加費】無料
【申込先】多世代交流研究会(担当:増田幸弘)
tasedaijwu@gmail.com
※上記メールアドレス宛に、
お名前、ご所属、「公開研究会参加希望」
とお書きいただいたメールをお送り下さい。
折り返しzoomのURLをお送りいたします。
この公開研究会はJSPS科研費(18K02169、21K02054)の助成を受けて開催されるものです。