イベント
「女性の活躍推進に、いま何が求められているのか」RIWAC主催 2013年度シンポジウム
- 日付:
- 2013年12月21日(土)
- 時間:
- 13:00~17:00
当研究所では、2013年12月21日(土)、「女性の活躍推進に、いま何が求められているのか」というテーマで、シンポジウムを開催いたしました。基調講演にシカゴ大学の山口一男先生をお招きし、パネリストとして、経済産業省経済社会政策室の坂本里和室長、法政大学の武石恵美子先生、政策研究大学院大学の黒澤昌子先生のご参加を得ました。
シンポジウム第一部では、「ダイバーシティと女性の活躍推進に、いま何が求められているのか―欧米の倫理・制度、日本の現状と問題-」という演題で、山口先生にご講演いただきました。山口先生は分析された統計データを具体的に提示されながら、性別と強く相関する企業内トラッキングが存在すること、管理職昇進率の男女差は大きく、それにともなう所得格差も大きいこと等を指摘され、企業が「女性に対する統計的差別の経済的不合理」を認識することが重要である、と主張されました。さらに、女性の活躍を推進するために、「最大労働時間制限、間接差別のより包括的な禁止、正規雇用・非正規雇用の真の均等待遇の実現」といった、具体的な施策を提言されました。
この基調講演を受け、第二部では「女性差別の経済的コストを考える」というテーマで、パネリストの先生方にそれぞれのご専門分野から報告をいただきました。まず、当研究所の大沢真知子所長が、「『女性とキャリアに関する調査』結果から見えてきたこと」というタイトルで、女性たちがおかれている状況について報告し、ついで、経済産業省の坂本里和室長より「成長戦略としての女性活躍推進」というタイトルで、「なでしこ銘柄」など国や経済産業省の新たに取り組みについて報告がなされました。法政大学の武石恵美子先生は「女性の活躍を阻害する職場の課題」というタイトルで、職場管理の観点から問題提起をされ、政策研究大学院大学の黒澤昌子先生は「女性の能力開発:女性の能力を生かすために」というタイトルで、企業内訓練等の問題について議論を提示されました。その後、報告者が一堂に会し、フロアからの質問も交えて、「なぜ、ダイバーシティが日本企業ですすまないのか」「限定正社員の問題をどのように考えたらいいのか」等、熱心な議論がなされました。
当日は84名の参加を得ましたが、参加者も研究者、労働者、政策担当者、学生など多岐にわたっており、終了後のアンケートには、「日本のおかれている状況と基本的課題が理解できた」「説得力にあふれ、力強いメッセージに感動した」「負のスパイラルを変えるには、三位一体(本人、政策、会社)のバランスが必要だと感じた」など、熱心な感想が寄せられました。その後、学内で開かれたささやかな懇親会にも、多数のご参加をいただき、心のこもった交流がなされました。
なお、このシンポジウムの記録は、来年度の当研究所の紀要、『現代女性とキャリア』第6号に掲載する予定です。ご関心をお持ちの方は、当研究所までお問い合わせください。